『ストライク・ザ・ブラッド』をネタバレなしで紹介！

原作者は三雲岳斗（イラスト：マニャ子）。
累計発行部数は320万部以上。

テーマを吸血鬼にしたのは、苦悩や葛藤を抱えるネガティブなものとして描かれることが多く、今の読者が共感するのはそこではないのではと考えたからだそう。

また、無用なストレスを与えないことを目標として執筆されており^*1、憂鬱感なく楽しめる作劇になっています。

主人公を吸血鬼にしたとするとヒロインは必然的に人間の少女になり、二人で協力しながら事件を解決するスタイルにしようとして形が出来上がっていったとのこと^*2。

2022年に完結して以降は本編の番外編となる『ストライク・ザ・ブラッドAPPEND』が全４巻で刊行されています。

舞台は常夏の人工島「絃神島いとがみじま」――

人間と魔族が共存する魔族特区。ある日を境に世界最強の吸血鬼になってしまった主人公・暁古城のもとに監視あるいは抹殺するために派遣された少女・姫柊雪菜。

お互いの人間性を見極めながら、次々に発生する魔導犯罪に対して協力して立ち向かっていくアクションファンタジーです。

本作における吸血鬼は「不死」を除くと人間に近いイメージで描かれています。日の下でも生活はできるし流水が苦手でもない。「眷獣」という召喚獣を使役し戦う能力者のようなもの。

血の描写こそありますが、ダークな世界観とライトな雰囲気が見事に調和しているので気軽に観ることができる作品になっています。

攻魔師で見習い剣巫の姫柊雪菜――

幼い頃から訓練を受けている優れた戦闘能力の持ち主で監視役の任務にも一生懸命に取り組むしっかり者。

時折見せる年相応な一面が可愛らしく、冷静に振る舞っていても好意が誰の目にも明らかで何とも愛しい。献身的に寄り添う姿はまさに理想のヒロインといえます。

本作では“正妻戦争”などと揶揄されるほど魅力的な女性キャラクターが数多く登場します。芯が通っていて主人公に惹かれる理由にも納得がいくため、ハーレム系に特有の不快感はないと思います。

見方によっては堅実なストーリーよりも、回を重ねるごとに色濃くなる関係性に着目したほうが面白いかもしれません。

主人公の力を解放するための吸血行為――

大抵が窮地きゅうちを脱するために行うもので、いたって真面目だけれどそのシュールさも相まって程よいシーンに落ち着いています。

両者の同意や経験の有無などの表現からは性〇を連想してしまいますが不潔さはなく、単なる関係値を超えた深いつながりには例えようのない良さがあります。

主人公とヒロインのやり取り、息の合った連携、決め台詞からの大団円。似た展開ばかりなものの慣れると思いのほかに心地よく感じている自分がいます。

サービスシーンの質も高く「作品らしさ」ともいえる部分に揺らぐことのない安心感があるため、好きになったら最後まで変わらずに楽しむことができるでしょう。