『僕のヒーローアカデミア』をネタバレなしで紹介！

原作者は堀越耕平。累計発行部数は１億部を突破^*1。

赤丸ジャンプにて連載された読切『僕のヒーロー』を元に作られている。

影響されたものには『X-MEN』や『スパイダーマン』などを挙げており「ヒーローのかっこよさは、戦闘じゃなくて人を救うことにある」と語られています^*2。作中でも窮地に駆けつける熱い展開が見受けられます。

2019年にはアメリカの漫画賞であるハーヴェイ賞（Best Manga部門）^*3を受賞。シリーズが完結した際には連載終了記念広告が『The New York Times^*4』に掲載されるなど、国内だけでなく海外でも人気の作品だということがうかがえます。

超常能力“個性”持ちが当たり前の時代――

私利私欲に走り能力を悪用する者たちが増加の一途をたどるなか、その力を街と人々を守るために行使するヒーローたちが立ち上がり、悪を挫く抑止力となることで平和が保たれている超人社会。

「職業＝ヒーロー」という設定の新鮮さと道徳や倫理を内包した世界観の奥深さをあわせ持った、王道系バトルアクションです。

多種多様な能力の形があり、統一性に欠けているともいえますが、先天的な才能や後天的な性格などに似たバラつきが個性と表するにふさわしい独自性を生み出しています。

登場するキャラクターも数が多く、技が多彩で観ていて飽きません。あらゆる個性が混在し激しくぶつかる戦闘こそが本作の醍醐味でしょう。

人は生まれながらにして平等じゃない――

非情な現実をつきつけられて一度は挫折した主人公が、周りに助けられながらも困難や逆境、そして未来を切り開いていく心揺さぶられるストーリー。

正義とはいったい何なのか。ヒーローだけでなくヴィラン側の苦悩や葛藤も描かれており、単なる善悪では語れない深みのある物語が展開されていきます。

特に、キャラクターが心身ともに成長していく過程は丁寧で「友情・努力・勝利」を感じられる気持ち良い内容になっています。特訓の成果が目に見えてわかり、戦術の幅が広がっていくことには心が躍りました。

ただし、主人公は無個性であれど無個性のままで強くなるわけではない点には留意すべきかもしれません。

ヒーローとその社会の在り方について――

幾度となく衝突するヒーロー対ヴィランの構図。まさに光と闇のように両者の対比が際立っていて、どんな結末を迎えるのかとても気になります。

原作の絵を初めて見たときは線のタッチからコメディ系を想像したけれど、いざ視聴してみると真面目な作風で驚きました。

最後に、見どころを挙げるなら何といっても手に汗握る戦闘シーンです。

ここぞという場面の演出、熱気が伝わってくる演技、ダイナミックな作画と奮い立つ音楽、それら全部が一体となったときの爆発力は圧巻で文句なしというほかないでしょう。