『東京リベンジャーズ』をネタバレなしで紹介！

原作者は和久井健。
累計発行部数は7000万部を突破^*1。

週刊ヤングマガジンの『新宿スワン』が初連載作品。不良が題材のアウトローな作品はアニメになることが少ないため、流行っていたもの同士を掛け合わせた「ヤンキー×タイムリープ」という目を引く設定にしたようです^*2。

青年誌から移るにあたって絵柄を大きく変えられており、持ち味を残しつつも少年誌らしい親しみを感じる作風になったことで若者を中心に読者層は拡大しました。

2021年にはアニメ化だけでなく実写映画化もされたことで多くの話題を集めました。

中学時代に付き合った彼女が死んだ――

どこで間違えたのだろうか、辛いことから逃げて謝りつづける人生。ボロアパートに住む26歳フリーターが自分の最期を覚悟した瞬間、脳裏に浮かんだのは親でも友達でもなく彼女だった。

最愛の人を助けるため、過去に戻った主人公が絶望に打ちのめされながら未来を変えようと力戦奮闘するタイムリープサスペンス。

タイトル「リベンジャー」を直訳すると復讐者の意味になるけれど、主人公が次々に人を殺していくような狂気にとり憑かれた作品ではありません。

勝ち負けでよく使われる再挑戦の意味合いが強く、推理ものよりバトルものといっても案外差し支えない内容です。

日本の闇を牛耳る犯罪組織 “東京卍會とうきょうまんじかい”――

詐欺、売春、殺人なんでもあり。警察が手に負えないほど大きな勢力に膨れあがっているが、過去ではまだ地元の有名な暴走族チームでしかなかった。

彼女の死につながっている東京卍會を正すため、不良の端くれからトップへと駆け上がる激動のストーリーになっています。

未成熟ゆえの何をやっても許されるような、危険性を孕んだ情動的で不安定な言動の表現が非常に上手く、不良という題材とタイムリープの要素が補い合った世界観に魅力を感じます。

ただ、時代の流れか不良自体見かけなくなってきているため、その点においてリアリティを感じるかは難しいところです。

勝ち目がなくても立ち向かう芯の強さはある――

目の前で火花を散らす抗争の顛末てんまつにいくつもの未来の可能性が転がっている。問題を解決したからといって良い方向に進むかすらわからない。

弱くて頼りなくて泣き虫ではありますが、途中から気にならないほどに主人公たらしめるのは、刺激的に描かれるストーリーやキャラクターの存在があるからでしょう。

あくまで大切な人を助けることが根幹にあり、暴走族そのものを美化しているようには見受けられません。従来の型には当てはまらない作風になっていることから不良ものが苦手でも楽しめる人はいると思います。