『ノーゲーム・ノーライフ』をネタバレなしで紹介！

原作者は榎宮祐。シリーズ累計発行部数は600万部を突破^*1。

今作に関しては文章とイラストの両方を担当されている。元々は漫画家をされていたけれど、自身の病気で執筆を休載している間に「比較的体に負担が少ないから」という理由で書き始められて現在のスタイルに。漫画の企画案としてプロットと設定を温存されていたのを小説の形式で実現することになったそうです^*2。

コンセプトは、国境線すらゲームで決まる国盗りギャンブル。インタビューで『ノーゲーム・ノーライフ』の好きなところや推しポイントを聞かれた際には、作者が公言すると公式見解となって一部の読者の意見を否定しかねないとしつつも、あえて挙げるなら「ハッタリと勢い」と答えられています^*3。

いま、もっとも新しい神話が幕を開ける――

ありとあらゆる殺傷・戦争・略奪が禁じられ、すべてがゲームの勝敗によって決まる盤上の世界を舞台に、最強のゲーマー兄弟が技量と知略と勝負強さをもって空前絶後の頭脳戦を繰り広げる異世界ファンタジー。

カラフルに彩ったアーティスティックな美術が特徴的な世界観を上手く表現しています。

絶対的な法則である『十の盟約』に縛られて『十六種族イクシード』が間接的な小競り合いを繰り返すだけの現状に飽き飽きとした唯一神ゆいつしんテトにより、別の世界で都市伝説とまで囁かれていたプレイヤー「」（くうはく）が此の地に召喚されるというところから始まる物語。

兄の空そらと妹の白しろの二人で「」（くうはく）――

身体能力が低く魔法が使えないから勝負に負け続け、国土の大部分を奪われた位階序列が最下位の人類種。

滅亡寸前にまで追い込まれている人類史を救うため、人類の可能性を示すため、種族の差をものともせず戦況を覆していくストーリー展開は爽快で、各エピソードだけでは終わらない未知なる面白さを感じます。

また、キャラクターの存在も作品に活力と華をもたらす上で一役かっています。洞察力と人心掌握に長けた空と天才的な演算能力をもつ白の抜群のコンビネーションは、ゲームの中では無敗を誇り、ゲームの外では軽妙なコメディ要素として十分に発揮され、飽きることなく楽しみながら観続けることができるでしょう。

もうすでに勝負ははじまっている――

既存のゲームにまったく新しいルールを付け加えることで巧みに生み出されていく予測不能な展開の数々。

高度な駆け引きや読み合いが飛び交い、常識が通用せず、瞬時に形勢が逆転するシーソーゲームにおいて、如何にして相手の策を上回ってどう決着をつけるのかが最たる見どころです。

しかしながら、何でもありとの見方ができてしまうことについては否めない。そもそも異世界の出来事で、魔法が関与している時点で普通という枠組みからは外れているわけですから。

それでも効果的な魅せ方や盛り上げる演出が優れており、理解ができていなくても問題ないくらいには良く出来た作品だと思います。

時系列はアニメ本編の5000年前――

現在の『盤上の世界（ディス・ボード）』が創られる前の「大戦」を描いた作品。人類種ですらない時代に種族間で巻き起こった争いの戦火のなかで、人々がどのように生き、何を願って、終戦を手繰り寄せたのかが明かされています。

一部のキャラクターは本編の登場人物とそっくりな顔をしているけれど別人です。原作の第６巻に該当する話で本来であれば観たほうがいいのは確かなのですが、アニメの続編が作られていない現状では特に観なくても問題ありません。ただ、成り立ちを知れば見え方も変わるので世界観が好きな人にはおすすめします。