『デジモンアドベンチャー』をネタバレなしで紹介！

電脳空間に生息するデジタル生命体『デジモン』――

本作の物語は、サマーキャンプに参加した７人の子どもたちが謎の現象に巻き込まれ、異空間へ飛ばされてしまうところから始まります。

昔のアニメながら現代の流行りジャンルでいう異世界ファンタジーの要素が含まれており、長編でも飽きない、脚本と構成が光る心躍る内容に仕上がっています。

ここで一つ注意しておきたいのは、前日談が劇場版として先行公開されている点です。約20分ほどの短編で観ないと楽しめないというわけではありませんが、本編の重要な伏線につながっているので先に劇場版を観ておくことをおすすめします。

目を覚ますとそこはデジタルワールドだった――

見渡せど見渡せど人っ子一人いない、広がる森林に連なる山々。この先に何が待ち受けているのだろうか。

物語の登場人物にでもなったかのような期待感とどうしようもない不安感が混ざりながらも、抑えられない冒険心の高まり。少年少女ならではの繊細な心情を上手く表していると感じました。

また、世界観として切っても切れないのがデジモンの存在です。単なる魔物やマスコットみたいなものではなく、現実の世界と密接に関係する重要なファクターとしての役割も担っています。

恐竜や昆虫など見た目はさまざまで子ども心をくすぐられると同時に、設定の奥深さのほうにも着目して見てほしい。

全員が主人公、みんな違ってみんないい――

周りに助けてくれる大人はいない。長くて険しい冒険のなかで仲間との友情、デジモンとの絆を育みながらほかの誰でもない「自分らしさ」を見つけていくストーリーになっています。

キャラクターそれぞれに焦点を当てた掘り下げがされており、エピソードに絡めた「成長」と「進化」の流れには胸が熱くなりました。

現実の子どもたちを取り巻く多様な家庭環境に踏み込む描写や多くの伏線によって謎が明らかになっていくなど、子ども向けと思えないほど考えられた大人も楽しめる作品です。

いつ観ても童心に帰ることができ、そのたびに大事なことを思い出させてくれる。これが色褪せない名作と言われる所以ではないでしょうか。

20周年を記念して実施されたプロジェクト内の一つで、クラウドファンディングを通して作られた期間限定のファンクラブの特典として『デジモンアドベンチャー LAST EVOLUTION 絆』のサイドストーリーなどが映像化されています。

収録話数は全５話で１話あたり数分の短編。劇場版の前日談にもなっている第１話はYouTubeにて一般公開されているため、確認しておいてください。