『からかい上手の高木さん』をネタバレなしで紹介！

原作者は山本崇一朗。累計発行部数は1100万部を突破^*1。

青年誌でデビューはしていたが悩んだ末に少年誌に移籍。ゲッサンを選んだ理由には「雰囲気が一番自分に合っている気がしたから」と答えられています^*2。

読み切り作品を何本か掲載した後に、それらをベースにして『からかい上手の高木さん』の連載が始まりました。

男の子と女の子による１対１の関係性が人気を博しており、タイトルにキャラクター名が入っている作品は高木さん系と例えられるほどに不動の地位を築いています。

影響を受けたものには『ラブロマ』を挙げられ「ずっとイチャイチャしているのに嫌味にならない点」は現在の作風にも通じていると感じます^*3。

とあるありふれた田舎町が舞台――

自然に囲まれた昔ながらの町並み。通学路は住宅が軒を連ね、道端にはたんぽぽが咲き、見渡せば田んぼや空き地が残っていて風情を感じる。

田舎ならではの穏やかな空気感が良く、すでに学生生活を終えている人にとっては遠く懐かしい「あの頃」が蘇ります。

朝起きて学校へ行くことが当たり前。おはようを交わせることが当たり前。ガヤガヤと笑い声がこだまする教室で二人だけの時間が過ぎていく。

一緒に授業を受けたり、思いついた遊びで勝負をしたり、何でもない毎日が積み重なって思い出が形作られるように、男女の普通で特別な関係性を描く青春ラブコメディです。

からかう高木さんとからかわれる西片――

タイトルにもあるように女の子が男の子をからかうということがコンセプトになっています。例えるなら、小さい頃によくある「好きな子にちょっかいを出してしまう」が感覚としては近いでしょう。

親しい間柄で純粋な気持ちが見て取れるため、不快感を覚えることなく楽しめると思います。

二人の設定は中学生。小学生のような無邪気さを残しつつも高校生のような交際する恋愛まではいかない。

今までと変わらずに会話をして一緒に帰ってバイバイをする。そこに異性に対する気恥ずかしさが混じる。これ以上ないほどにピッタリの年頃で、見ていて微笑ましい限りです。

季節の移ろいとともに深まる仲――

本作は一話の中に複数の短編エピソードが入る形で構成されています。特筆すべきなのは作中の時系列で、原作では不規則に収録された話をアニメでは時間の流れに沿うように組み直しています。

これが正しいかは一概には言えませんが、二人の成り行きが明確にわかるので、とても見やすいと感じました。

総じて、主人公とヒロインの絶妙なやり取りが魅力的な作品。別のキャラクターに差し替えても成り立つかと問われると成り立たないと答えます。

感情を言葉にして終わりではなく、言い回しや掛け合いの間などを大事にしていて、内に秘めた想いを読み取ってみると自ずと口角が上がること間違いなしです。